手縫いとミシン縫いを取り入れている理由 / Reasons to use hand sewing and machine sewing
2018年10月20日(土)
無二では、手縫い仕立てとミシン仕立ての両方の経験から、縫製にはミシン縫いと手縫いの両方を取り入れています。その為、総手縫い仕立ての様な仕上がりですが、厚すぎず薄すぎない独自の革のボリュームコントロールで、耐久性を備えた製品づくりに重きを置いています。
10年後もまだまだ使える・・・そんな安心感を感じて頂けるように〜
手縫い仕立てとミシン縫い仕立てでは、パーツの作り込みが少し違います。手縫いは縫う前に縫い穴(菱目)を開けて、そのあとその穴へ糸を通した針を通して縫い上げて行きますので、パーツの段差や革の厚み、硬さや柔らかさによって糸を締め上げる力加減を都度調整できます。一般的に手縫いが強いと言われるのは、ステッチが出来上がるパターンの違いもありますが、個々のパーツの厚みがしっかりと残っていて、ミシンでは縫えない部分もステッチがしっかりと掛かっている事が理由だと、僕は思っています。
そして柔軟に手元で対応ができる手縫いに対してミシン縫いは、モーターの動力を使って動き、みなさんご存知の通り針で穴を開けると同時に糸が絡んで一定の力加減で縫うことができます。パワー出力が安定していますので、もちろん整ったステッチに仕上げる事が可能です。これはミシンの機種によりますが、均一な糸調子を維持する為にはパーツが重なる段差は出来るだけ少ない方が安定が良く、パーツ作りでは段差が少なくなるようにパーツ作りをしていきます。
そしてパーツの重なりのかさばりや段差を抑える為には、革の厚みを薄くする必要があります。特に大量生産モノの場合は、ステッチの安定性を一定に保つためパーツのかさ張りをできるだけ薄くしているものが多いです。しかし薄くなっているという事は、パーツそのものの耐久性は弱くなってしまう可能性があります。使用過程でのパーツの負担が「伸び」や「型崩れ」につながる場合があり、負担がひどい場合は縫い目が緩んで糸が切れてしまう可能性もあります。
無二では、単年での糸の緩みが出ないことはもちろんですが、財布であれば使用過程で負担が掛かるであろう部分を把握して、部分的にパーツの厚みを残しつつ耐久性を持たせた作り込みをしています。多少厚みが出ることになってしまっても、使用に影響がなければ耐久性UPを優先します。そうする事でミシン縫いだけでは実現できない耐久性を手縫いを用いる事でさらに安心できる耐久性を実現させています。
パーツ構成の厚み、ステッチの幅、縫い糸の太さ、全てがバランスよくまとめられる事で強い財布が出来上がります。手縫いでは多少の厚みで段差が出来ても下の写真の様に、要所でステッチを部分的にダブルステッチにする事で強度を増すことができます。※もちろん、ミシン縫いの場合でも要所でダブルステッチにしています。
生産効率を考えれば、ミシン縫いのみで仕立てられればスムーズかと思いますし、お待ちいただく期間もどんどん縮めて行けると思います。でも、やはりそれでは100%安心して製品をお渡しする事が出来ません。。。モノづくりにおいては、手を加えれば加えた分、それだけ技術が注入され、よりよい精度となります。手にとって頂いた時に安心して頂けるよう、「無二の財布にして良かった」と、ホッとして頂けるように日々の製作に向き合っています。
でも耐久性の実感は2〜3年の数年の使用ではわからないと思います。さらに使い込んで頂く過程で、「結構使ったけどまだまだしっかりしているなぁ」と感じて頂けると思います。
耐久性は目に見えない部分です・・・
なんでそんなに時間が掛かるの?なんでそんなに高いの?本当は簡単に作れるんでしょ?など、色々な疑問を持たれるかと思いますが〜〜〜
本当に時間を掛けて製作していますf^^; 本当にパーツ一つ一つに手を入れてコツコツと製作しています。完成まで時間がかかってしまって本当に申し訳ありませんが、、、事実です!
財布を手にして頂いてから5年後、10年後にその証拠を現物確認していただけますでしょうか?(笑)
引き続きコードバンレザーブランド・無二を宜しくお願い致しますm(_ _)m
ラウンドファスナー長財布、その他長財布に関しましては、既に2020年2月まで確定受注を頂いております。只今の受注分は2020年3月完成予定の受注となっております。
受注可能(注文可能)な状態は、材料手配が可能で順次製作が可能な状況でございます。受注=即納可能ではございません。何卒ご理解のほど宜しくお願い致しますm(_ _)m 気になることがございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。info@muni-leather.jp
製品ページはこちら→→→ラウンドファスナー長財布、長財布
Thank you!
Muni(無二) Leather / Yasuji Miyazaki.
プレミアムコードバンレザーブランド【無二・Muni】
無二・Muniオフィシャルサイト→ http://muni-leather.jp
無二・Muniオンラインショップ→ http://cordovan.muni-leather.jp/
主宰 宮崎泰二 (info@muni-leather.jp)
※ プレミアムコードバンレザーブランド【無二/Muni】を主宰しております、宮崎です。近年、コードバンが皮革製品の素材としてこれまで以上に普及し始めています。無二でも使用している「新喜皮革」製のコードバンは、今では世界的にもファンが多くアジアやヨーロッパなど海外でも注目されています。人気が出ることは嬉しいことですが、コードバン自体の入荷が1年以上掛かる状況は、未だ緩和の兆しが見られません。。。今後も素材の入荷待ちでお待たせしてしまう事が考えられます。何卒ご理解のほど、よろしくお願い致します。入荷など気になる事がございましたらお気軽にお問い合わせ下さいませ。info@muni-leather.jp
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vol.2 カードポケットパーツ
2018年07月25日(水)
コードバンレザーブランド【無二/Muni】の製品は、全てオールレザー仕立てになります。メイン素材のコードバンはもちろん、内装の牛革(サドルレザー)もタンニン鞣しのヌメ革になります。※一部、イタリア製のショルダーレザーを使用しておりますが、こちらもタンニン鞣しされたヌメ革を使用しております。
なぜ、ヌメ革なのか、、、それは財布や名刺入れ、小銭入れ、キーケースといった日常で使う頻度が多い製品を”長く使っていく事を想定した”時に、ヌメ革の方が耐久性を考えた上で良いと思ったからです。革は使い込んでいくと、良く馴染み、色深く変化する様子が味わい深く、温かみを感じれる素材です。そしてこれは革の良い部分です。僕は革に触り始めてから ”馴染んでいく” と言う部分にいつしか注力していました。この ”馴染む” と言う部分を逆の感覚で見てみると、、、馴染んでいるという事は ”ヘタっている?” のではと思ったのです。もちろん何年もかけて色々な製品を使ってみた経験から感じた結果です。僕が言う「長く使っていく事を想定している」と言うのは、その”ヘタリ”をいかに感じさせないモノづくりをするか?!にあります。元々ヌメ革は、3ミリから5ミリほど素材の厚さを残して鞣される事が多く、この厚みがヌメ革の特徴でもあるのです。靴底や鞄などで1枚革で仕立てられるものには10ミリ強の厚みを使う場合もあると思います。厚みがあればあるほど素材の耐久性は上がるという事になります。
純粋にタンニン鞣しのヌメ革を楽しむのであれば、厚みのある革で仕立てられたものを、「ワイルドだろぅ〜〜〜?!」って感じでしょうか(笑)財布の蓋が閉じないくらい硬い革の物を、年月をかけて蓋が自然に閉じるまで育てて行くという楽しみ方もあります。しかし、財布や名刺入れ、小銭入れ、キーケースといった日常で使う頻度が多い製品は、時代の変化と共に、薄くて収納力があり、使い易いものへというスタイルに変化してきました。
無二でも、そういった時代の変化の流れはもちろん意識しています♪ただ、「革の良い部分は削ぎ落としすぎず」という部分にも拘っています。タンニン鞣しのヌメ革の特徴は、味わい深い経年変化、素材のハリとコシ、そしてそれらを生み出しているのが、タンニンで鞣されて、尚且つ ”引き締まった繊維質” なのです。もちろん、近年はオイル分を多めに浸透させたしなやかさを強くしたヌメ革、イタリア製ショルダーレザーなどもありますが、ヌメ革となるベースは同じです。
何をお伝えしたいかというと、、、ヌメ革を薄くしすぎると、ヌメ革の特徴が無くなってしまうと言うことです。革の表面(人間で言う皮膚の部分)を支えているのが、その下の繊維質なので、「薄くする=繊維質を削ぐ」と言うことになりますので、必要以上に薄くしずぎますと、、、ハリやコシが無くなってしまう事になるのです。無二の仕立てはオールレザー仕立てです。一枚革のパーツは薄くしすぎず、適度にハリとコシを維持できる最適な厚み維持をしながら、一つ一つ手を加えて行く事でパーツの耐久性UPそして全体的な耐久性UPと完成度の向上に務めています。
そこで今回の「カードポケットパーツ」の作り込みについて解説させて頂きます。
※写真の素材はイタリア製ショルダーレザーのROSSO(レッド)です。革の表面のみを手染め染色しているため、表面と裏面の様子がわかりやすいので、こちらの素材で説明させて頂きます。 現在は芯通しといって、裏面まで染まっている素材になります。
一枚の革から、製作アイテムのサイズにあったパーツを切り出していきます。無二では、パーツを切り出してすぐに使う訳ではないのです。今回はカードポケットパーツですが、、、パーツを切り出した後はそのパーツ一つ一つに手を加えて完成度を上げて行きます。
パーツ切り出し後、パーツ裏面を部分的に薄くする漉き加工を施します。上の写真左側のように、カードポケットのかさ張りを抑えるため、下に向かうほど薄くなるように裏面の厚みを調整します。カードポケットパーツ1枚あたり、革漉き機という機械を使って4回、手で包丁を使って1回、合計5回の漉き加工を施します。ラウンドファスナー長財布、長財布、長財布(小銭入れ付き)に使用するカードポケットパーツはそれぞれ8〜10枚あります。財布製作の過程での一手間ですが、時間をかけて漉き加工を行なっています。カードポケットパーツ上部は、耐久性が必要なので適正な厚みをしっかりと残しております。
そして次の写真になりますが、漉き加工を施したパーツの裏面です。左右で色が違っているのが分かりますか?右側のパーツの色が薄いのに対して、左側は色濃く変わっていると思います。
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これはどうしてかと言いますと、、、適材適所の漉き加工が終わった後に、繊維質を引き締める加工をしているからです。この引き締め加工は、繊維質の毛羽立ちを抑えて整えることで美しく仕上げられるという意味もありますが、無二では、繊維の引き締め材をしっかりと浸透させて耐久性持たせる事を意識しています。カードポケットは、カードを差し込む事で口部分が横に広がる力が掛かります。その負荷に対して伸びにくくなる様に加工を施しています。もちろん、使用するカードポケットパーツ一つ一つに施しています。
そしてこの後、熱による念入れ加工、そしてコバ磨きという工程を終えてカードポケットとして使用できるパーツに仕上がります。
カードポケット口部から少し下がった位置に熱を入れながら一本の線を入れています。これが念入れです。シルエットを引き締める意味もありますが、熱入れにより伸び止めの意味もあります。
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カードポケットパーツも、最後にコバ磨きを終えて完成となります。どの工程もとても大事な作業になります。
組み立て前に時間をかけてパーツ精度を上げる事で、製品になった時には全体的な耐久性も格段にアップしています。地道な作業の積み重ねですね♪
製品をお届けしたお客様から、実際に製品を手にとって、「とても感動しました!」というお言葉を頂きます♪このお客様のご感想は僕にとって感無量のお言葉で、とても嬉しい限りです。そして、お使い頂く事で更に、その良さを感じて頂けますと幸いです。
大変お待たせしておりますが、引き続きしっかりと製作させて頂きたいと思っております。コードバンレザーブランド【無二/Muni】に興味を持って頂き本当にありがとうございますm(_ _)m
〜前回の「無二/Muniの財布が強い理由」vol.1コバ磨き仕立てのブログはこちら〜
Thank you!
Muni(無二) Leather / Yasuji Miyazaki.
プレミアムコードバンレザーブランド【無二・Muni】
無二・Muniオフィシャルサイト→ http://muni-leather.jp
無二・Muniオンラインショップ→ http://cordovan.muni-leather.jp/
主宰 宮崎泰二 (info@muni-leather.jp)
※ プレミアムコードバンレザーブランド【無二/Muni】を主宰しております、宮崎です。近年、コードバンが皮革製品の素材としてこれまで以上に普及し始めています。無二でも使用している「新喜皮革」製のコードバンは、今では世界的にもファンが多くアジアやヨーロッパなど海外でも注目されています。人気が出ることは嬉しいことですが、コードバン自体の入荷が1年以上掛かる状況は、未だ緩和の兆しが見られません。。。今後も素材の入荷待ちでお待たせしてしまう事が考えられます。何卒ご理解のほど、よろしくお願い致します。入荷など気になる事がございましたらお気軽にお問い合わせ下さいませ。info@muni-leather.jp
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