無二

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Quality than quantity / 量より質

2019年04月24日(水)


現在、無二の財布の中で一番ご注文を頂いているモデルが、ラウンドファスナー(ラウンドジップ)長財布です。そして製作が追いつかず沢山の方をお待たせしてしまっている原因となっているモデルでもあります。。。

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数年の間にある程度使い熟して、「これからもっと使い込んで行きたい」という段階で、ヘタってしまったり、壊れたりするものは作りたくないという思いから、、、
元々、たくさん製作する事を想定せず、細部の作り込みに時間をかける事に重点をおいています。この部分は、ラウンドファスナー長財布に限った事ではなく、無二の製品全般に対して共通です。

特にラウンドファスナー長財布に関しましては、現在販売中の製品の中で、パーツ数、作業工程共に一番のボリュームになり、その細部の仕立てに関しても無二独自の拘りが沢山つまっています。
そしてラウンドファスナー長財布の仕立ての拘りの一つが、最後の仕上げ工程とも言える「外装と内装を合わせる」縫製を敢えて「手縫い」にしている事です。

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この最後の工程になる「外装と内装の合わせ」をミシンで縫製すれば、長財布一本を手縫いしている時間から推測するに、、、おそらく裕に10本は縫い上げられると思います。しかし、僕は敢えてそれをしません。

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耐久性を考えて薄くし過ぎないパーツ構成をしているので、ラウンドファスナー長財布は、特に外周部にパーツの厚みが集中します。厚みが集中するといってもミシンで縫える厚みの範囲内で治めていますので、必ず手縫いじゃないといけないわけではありません。

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注意点は他にあります。。。

厚みよりも別の部分になりますが、ファスナーパーツの取り付けが伴って、始点と終点がミシンで縫うには少し窮屈になる箇所が出来てしまいます。また、出来るだけ外周ステッチを外装パーツの外寄りのギリギリにステッチを入れたいという事もあります。(ステッチに関しましては、あまり太い糸を使う訳ではありませんので、あまりにも外周の内側に入れすぎてしまいますと仕上がりイメージの迫力が弱くなってしまいます。何よりこのステッチを入れる位置も耐久性に関わっています。)

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「攻める」という事はミスのリスクもありますが、たくさん製作する事を考えれば強引に財布をミシンに押さえつければ縫う事も出来ます。製品開発当初は葛藤がありました。

時に攻めの強引さは必要なのですが、結果、製作過程で必要以上に素材を傷つけることになったり、ステッチのバラツキを生んでしまっては意味がありません。特に、コードバンはどの素材よりも繊細な素材で、製作中は取り扱いにとても神経を使う素材です。そしてステッチのバラツキはステッチの緩みにも繋がる可能性があり、その先は耐久性の衰えに向かいます。

もちろん、製作者、販売者としては「壊れたらまた買って頂きたい」、「気に入ったらまた買って頂きたい」という気持ちがあります♪リピートは運営的にもとても嬉しいですし、助かりますから(笑)もちろん、リピートはいつでもお待ちしています!
でも、僕自身が気を向ける所、やるべき所ははそこでは無いと思っています。

なぜなら〜

僕が製作後にみなさんの元へお届けした後は、どの様な環境化でどんな使い方をされているのかは、、、正直わかりません。本来は出来るだけ避けて欲しいですが、本来の内容量よりも「カードやお札が増えてしまった」(財布の中にお札が増える事はいいことです(笑))など、多々あると思います。そんな想定以上の環境化で使われる事があっても簡単に壊れるものではなく、耐えうるものでなければと常々思っています。

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そして更に、何年経ってもシャキッとした財布で使い続けて頂きたい。お買い物の会計時での財布を使う場面で、他の誰が見ても「カッコイイ」、「素敵」だと思って頂きたいのです。もちろん、革素材の良い状態を保つために定期的なメンテナンスはして欲しいですが(笑)そのベースとなる部分がヘタってしまってはいけないと。。。

と言うことで、僕が選んだ製作スタイルは「量より質」です。

そして僕がラウンドファスナー長財布の「外装と内装の合わせ」に選んだのは、時間がかかっても「手縫い」と言う方法になりました♪

見た目にはわからない部分であり、「何故そんなに製作時間がかかるのか?」というお問い合わせを頂く事もあります。早くお届け出来ないのはとても悔しいですし、僕自身も何とか完成時期を詰めていきたいと言う葛藤が日々あります。それでも難しい現状。。。お待たせしてしまっている事は本当に申し訳ありませんm(_ _)m

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お待ち頂いている分、しっかりと製作させて頂く事しかできませんが、、、
永くご愛用して頂く為にも、そしてその見た目にはわからない部分を実感していただき、更に永くご愛用して頂けたら幸いです。
この後も大量生産は出来ませんが、着実に一つ一つ製作と向き合ってお届けしていきたいと思います。

 

P.S 最後になりますが、これまで数回に渡りブログの下部にてご案内して参りました「価格改定」を本格的にお知らせしなければならない状況となって参りました。大変恐縮ではありますが、何卒ご理解のほどよろしくお願い致しますm(_ _)m
当初、2019年5月1日を予定しておりましたが、現在も熟考中でございます。つきましては価格改定の予定日を【2019年7月1日】にスライドさせて頂きたいと思います。※2019年6月30日までの受注分は現行価格にて受注となります。
詳細が決まりましたら改めてお知らせさせて頂きます。

Thank you!
コードバンレザーブランド「無二」
主宰 宮崎泰二

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現在も想定月間生産数の3倍の受注が続いており、これまでにない作業量で、製作スケジュールが崩れ大変ご迷惑をお掛けしております。
1日でも早くお届けしたい気持ちですが、逸る気持ちを抑えて一点一点しっかりとした製品に仕上げてお届けしたいと思っております。製作に関して高精度に拘り過ぎたのかもしれませんが、手を緩めることが出来きず製作に時間がかかってしまう次第でございます。楽しみにお待ち頂いている中、大変恐れ入りますが何卒ご理解頂けますと幸いですm(_ _)m

ご注文時の完成予定から大変お待たせしておりますが、順次、完成間近になりましたら改めてお知らせさせて頂きます。完成までどうぞよろしくお願い致します。
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ラウンドファスナー長財布、その他長財布共に、既に2020年8月完成予定まで確定受注を頂いております。
現在受注分は「2020年9月以降」の完成予定となっております。

受注可能(注文可能)な状態は、材料手配が可能で順次製作が可能な状況でございます。受注=即納可能ではございません。只今、受注過多につきまして在庫ストック分の製作余裕がない状態が続いております。ご注文順に製作後のお届けとさせて頂いております。何卒ご理解のほど宜しくお願い致しますm(_ _)m 気になることがございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。info@muni-leather.jp

製品ページはこちら→→→ラウンドファスナー長財布、長財布
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***価格改定予定のお知らせ***
「無二/Muni」ブランド立ち上げより据え置き価格にて昨今の材料費、運送費コストの高騰を吸収するべく努力を重ねてまいりましたが、現在のままでは吸収しきれなく、大変厳しい状況となっております。

つきましては、品質の維持・向上に努めながら、7月1日受注分より商品の価格を改定させて頂きたく思います。
新価格につきましては、現在調整中でございます。決まり次第、改めてお知らせさせて頂きます。価格改定は心苦しいお知らせとなりますが、今後も良質素材としっかりとした製品づくりを継続し、皆様にご満足いただける製品の提供に努めてまいりたいと思っております。
何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。
***価格改定予定のお知らせ***

Muni(無二) Leather / Yasuji Miyazaki.
プレミアムコードバンレザーブランド【無二・Muni】
無二・Muniオフィシャルサイト→ http://muni-leather.jp
無二・Muniオンラインショップ→ http://cordovan.muni-leather.jp/

主宰 宮崎泰二 (info@muni-leather.jp)

※ プレミアムコードバンレザーブランド【無二/Muni】を主宰しております、宮崎です。近年、コードバンが皮革製品の素材としてこれまで以上に普及し始めています。無二でも使用している「新喜皮革」製のコードバンは、今では世界的にもファンが多くアジアやヨーロッパなど海外でも注目されています。人気が出ることは嬉しいことですが、コードバン自体の月間の生産数量が供給量に足りておらず入荷が1年以上掛かる状況は、未だ緩和の兆しが見られません。。。素材入荷待ちでお待たせする事が無い様、ご注文確定後は、ご入金確認後、直ちに素材発注手配より進めてまいります。何卒ご理解のほど、よろしくお願い致します。入荷など気になる事がございましたらお気軽にお問い合わせ下さいませ。info@muni-leather.jp

インスタグラム(無二/Muniレザーアカウント)→ https://www.instagram.com/muni_leather/
フェイスブック(無二/Muniレザーアカウント)→ https://www.facebook.com/muni.cordovan/
ツイッタ→  https://twitter.com/Yasuji_Miyazaki

Prepare for reinforcement / 補強への下準備

2018年11月10日(土)


無二の財布製作の中で最も意識をしている部分、、、それはやはり「耐久性」です。無二をスタートするにあたり、数年でヘタってしまう財布は作りたくないという思いから、生産量よりも質を考えた少量製作に意識が変わりました。

耐久性を考えるということは、とても繊細な部分に気を配る必要があり、製作コスト的にはむしろ「マイナス要素」になります。大量生産のスタイルでは、まず「省かれる部分」になりますが、僕が製品として追求、提供できる部分はその「マイナス要素」であり、通常であれば「省かれる部分」なのです。どうしても見た目には判らない部分なので、コストバランスを考えれば省かれても仕方のない部分になるのでしょう。ただ、「良いモノ」としての本質を考えた時に、僕としては「耐久性」という部分は外すことが出来ない要素でした。

見た目、機能が同じでも、より長く使えるモノ、数年経ってもヘタリが出にくく財布そのものが生き生きしている、そんな数年後、そして5年、10年後を想像して製作しています。

ラウンドファスナー長財布ですと〜まず、外装のファスナーヘッドとエンドの部分に負担が掛かります。モノの角として周りの物に当たりやすいため潰れやすい箇所です。そしてこの部分が弱いと型崩れもしやすくなってしまいます。

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無二では、入荷するコードバンの厚みを指定した一定の厚みに漉いて加工してもらいます。そして外装全体の耐久性アップのために、こちらも指定した一定の厚みに漉いた牛革の身の詰まった繊維部分を張り合わせています。全体的な厚みを整え、その後はファスナーヘッドとエンドに当たる箇所へ外装と同じコードバン素材を指定の厚みに薄く漉いてプラスアルファの補強を施します。

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外装パーツを作るために、①コードバンを指定の厚みに漉く②コードバンをパーツ裁断③牛革の繊維質を指定の厚みに漉く④牛革の繊維質をパーツ裁断⑤コードバンと牛革の繊維質を張り合わせ⑥実寸にパーツ裁断⑦ファスナーヘッドとエンド部のパーツ製作(裁断&漉き加工)⑧ファスナーヘッドとエンド部へ張り合わせ

コバ磨きに入る段階前で実に8つの工程を行なっています。こうやって自分で書き出していると、、、こんなにも作業工程があるんだと、ビックリしてしまいます(笑)

ここからコバ磨きに入りますので、外装パーツの完成はまだまだ先となりますf^^; 気の遠くなる作業が続きますが、手を抜くことは出来ません!

そして次の写真でコバ磨きの流れを大きく3段階に分けて説明したいと思います。IMG_0071

パーツはカードポケットパーツです。上の束、真ん中の束、下の束という様に大きく3つの工程段階に分けています。上の束は、パーツ裁断の後にヤスリがけを終えた状態。真ん中の束は、上の束の状態からコバ磨き1回目を終えた状態。下の束は、真ん中の束の状態からさらにヤスリがけと磨きを数回繰り返してコバが滑らかに仕上がった状態。

あまり回数は意識はしていませんが、一つのパーツあたり最低5〜6セットはヤスリがけと磨きの工程を繰り返していると思います。もちろん、コバの状態はパーツ一つ一つ違いますから、パーツの状態によってはさらに磨きのセット回数を重ねます。

加工に手を加えれば加えた分、美しく仕上がりますし、耐久性も備わります。その分、製作には時間が掛かり、高価な製品になってしまいますf^^; でも、毎日使用する財布を安心してご愛用いただく為にはどの工程も欠かせないのです!

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引き手もコバ面の仕上げに時間が掛かります。引き手の製作にも1日〜2日は時間をかけてじっくりと仕上げています。

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いよいよ11月になりました。。。今年もあと2ヶ月を切り、焦りもありますf^^; 大変お待たせしておりますことをお詫び申し上げますm(_ _)m しかし、製作が雑にならない様に気持ちを落ち着かせて製作に集中して参りたいと思います。そして日々、遅れを取り戻すべくしっかりと製作を進めて参りたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

引き続きコードバンレザーブランド・無二を宜しくお願い致しますm(_ _)m

ラウンドファスナー長財布、その他長財布に関しましては、既に2020年3月まで確定受注を頂いております。只今の受注分は2020年4月〜5月完成予定の受注となっております。

受注可能(注文可能)な状態は、材料手配が可能で順次製作が可能な状況でございます。受注=即納可能ではございません。何卒ご理解のほど宜しくお願い致しますm(_ _)m 気になることがございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。info@muni-leather.jp

製品ページはこちら→→→ラウンドファスナー長財布、長財布

Thank you!

Muni(無二) Leather / Yasuji Miyazaki.

プレミアムコードバンレザーブランド【無二・Muni】

無二・Muniオフィシャルサイト→ http://muni-leather.jp

無二・Muniオンラインショップ→ http://cordovan.muni-leather.jp/

主宰 宮崎泰二 (info@muni-leather.jp)

※ プレミアムコードバンレザーブランド【無二/Muni】を主宰しております、宮崎です。近年、コードバンが皮革製品の素材としてこれまで以上に普及し始めています。無二でも使用している「新喜皮革」製のコードバンは、今では世界的にもファンが多くアジアやヨーロッパなど海外でも注目されています。人気が出ることは嬉しいことですが、コードバン自体の入荷が1年以上掛かる状況は、未だ緩和の兆しが見られません。。。今後も素材の入荷待ちでお待たせしてしまう事が考えられます。何卒ご理解のほど、よろしくお願い致します。入荷など気になる事がございましたらお気軽にお問い合わせ下さいませ。info@muni-leather.jp

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